うつ病に関してどのような印象や認識をもっていますか?
ここでは仕事や家事、学業とうつ病に関する誤解を紹介します。
うつ病の発症要因はストレスだけではありません(うつのこと-うつ病と歩む道)。
そのため、誰にでも発症のリスクがあります。また、結婚や昇進など、ポジティブな出来事にもストレスは生じるため、自分が感じている以上に、受けているストレスが大きい場合があります1)。
うつ病を受け入れず、治療せずにいると症状が悪化するおそれがあります。
うつ病と診断された場合、患者さんによっては、自分がうつ病であることを納得できない、または、「自分はそんなに弱くない」、「自分はうつ病でも元気」などと病気を軽視したり、否定的にとらえることがあるかもしれません。
しかし、治療が遅れると症状が悪化する可能性があります。そのため、診断後は、まず真摯に治療と向き合うことから始めましょう1)。
悲観的な感情は、うつ病の症状の1つでもあります。
うつ病と診断され、「うつ病は挫折、人生の終わり」などと思う患者さんは、そもそも頑張りすぎていたのかもしれません。
自分に対して悲観的になっている時期に、無理して明るくふるまう必要はありません。悲観的な感情も、うつ病の症状であると理解して、治療を続けることが大切です。治療によって症状を改善することは、悲観的な思考から抜け出す方法の1つです1)。
あせらず自分のペースで、できることから始めることが復帰を成功させるための第一歩です1)。
休養したことに対するあせりや、負い目を感じることもあるでしょう。しかし、症状が十分に回復しないまま復帰したり、復帰後に頑張りすぎると、復帰後の負担に耐え切れない可能性があり、再発につながるおそれがあります。再発した場合は、再び休職が必要になるため、自分のペースを大切にしましょう。
うつ病を発症する前までに、自分が無理をしていたことや、生活や仕事に無理があったことがうつ病を発症した原因の1つである可能性があります。
復職支援プログラムや精神療法を受けるうちに、そのことに気づくことができるかもしれません。また、回復後に目指すのは、新しい自分と新しい生活です。過去と現在の自分を認め、ありのままの自分になることが、気持ちを一新することへつながります1)。
多くの患者さんが、不安や緊張の中で復職します。
復職支援プログラムなどを受け、復職への準備を整えた患者さんであっても、復職当初は緊張します。復職当初に穏やかな気持ちを保てないことは、復職する患者さんの多くが経験することです。緊張することは、復職への準備が不足していることや、うつ病の症状が回復していないことが原因ではありません。
復職するときに大事なことは、無理をしないことです。つらいときはまわりにサポートを求めるなど、頑張りすぎないようにしましょう1)。
治療で自分が本来もっているもろさ(うつ病になりやすい特徴:完璧主義、悩みを抱え込むなど)を変えることは難しく、仕事や家事などで無理をすれば、うつ病を再発してしまう可能性があります。
うつ病の原因は1つではなく、遺伝的要因や身体疾患やこれまでの経験、性格、自分を取り巻く環境、そしてストレスが考えられます2)(うつのこと-うつ病と歩む道)。それらを把握・理解することで、対策を立てることはできます。もろさを変えることは難しいですが、復職支援プログラムや精神療法などでは、そのもろさも含め、自分が本来もっている気質と一緒に生きていけるような対策を身につけていきます1)。
不幸だと思い、自分を責めてしまうのは、うつ病の症状でもあります。
不幸だと思うのは、憂うつや悲しみなどの「抑うつ症状」と呼ばれる症状であり、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(うつのこと-うつ病の症状)。
治療を受けてうつ病の症状が回復へ向かうことで、そういった考えは薄れていくでしょう。また、精神療法や復職支援プログラムなどで考え方を学ぶことで、「不幸なのは自分のせい」と思うことはうつ病の症状であることを理解でき、気持ちが楽になるかもしれません1)。
仕事や勉強ができないのは、うつ病の症状の1つかもしれません。
うつ病では、判断力や集中力、記憶力の低下があらわれることがあります2、3)。また、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(うつのこと-うつ病の症状)。これらの症状により、仕事や家事、学業に支障が生じることがあるため、治療を受けに行きましょう2、3)(うつのこと-病院へのかかり方)。
医師から休養が必要と判断された場合は、何もしないように心がけ、十分に休養をとってください。
家庭内での家事などを任されている場合は、休養中でも気が休まらないことがあるかもしれません。その場合は、休養が優先すべきことだと考え、周囲にサポートを求めましょう。しかし、自宅での休養が難しい場合は、入院してじっくり休むという選択肢もあります。家庭内での状況を医師に相談してみましょう4)。