生活のこと

うつ病との生活には、仕事や経済面のこと、人間関係など、心配もあると思います。
疑問に感じることの多い点についてまとめました。

うつと向き合う10のこと

うつ病と上手に向き合うために生活の中で実践していただきたいことを紹介します。

1自分のペースで受け止める

自分のペースで受け止める

自分のペースで
受け止める

うつ病を受け止め、理解することが回復への第一歩です。うつ病の受け止め方は人それぞれであるため、ゆっくりでもよいので、自分のペースでうつ病を受け止めましょう。

2あきらめることを覚える

あきらめることを覚える

あきらめることを
覚える

あきらめは絶望ではなくリセットです。これまでの自分を見つめなおし、負担になっている目標や目的をあきらめることも考えてみましょう。

3自分を責めない

自分を責めない

自分を責めない

自分を責めることは、うつ病の症状の1つでもあります。(こころの症状)また、うつ病は、自分自身で発症を防ぐことが難しい病気です。「自分が悪かった」と思いつめないようにしましょう。

4副作用をよく知ること

副作用をよく知ること

副作用を
よく知ること

服用している薬の副作用をよく知ることは、早期の適切な対処へつながります。副作用があらわれた場合は、勝手に中断せずに、医師に相談しましょう。(治療のこと

5休養に専念する

休養に専念する

休養に専念する

医師から休養が必要と判断された場合、休養に専念することが、回復に向かうために重要です。何もせず、こころとからだを休ませましょう。(うつ病治療中の過ごしかた)(治療のこと

6お薬を勝手に中止しない

お薬を勝手に中止しない

お薬を勝手に
中止しない

自分の判断でお薬の服用を中止したり減量することは、症状の悪化や再発を引き起こすことがあります。お薬に関することは自分で判断せずに、医師や薬剤師に相談しましょう。(治療のこと

7自分なりの意義を持つ

自分なりの意義を持つ

自分なりの
意義を持つ

物事のとらえ方によって、ストレスの感じ方は変わります。
たとえ無意味に思えるようなことであっても、自分なりの意義を持つことで、ストレスを減らすことができます。

8完璧を目指さない

完璧を目指さない

完璧を目指さない

うつ病から回復した状態を維持するためには、無理をせず、完璧を目指すことはやめましょう。うつ病発症前のペースで生活しないことが大切です。(うつ病治療中の過ごしかた

9エネルギーを意識して過ごす

エネルギーを意識して過ごす

エネルギーを
意識して過ごす

エネルギー(体力や気力)には限界があります。
復帰した後は、自分のエネルギー量を意識して、無理しないようにしましょう。

10迷わず医師を頼る

迷わず医師を頼る

迷わず医師を頼る

うつ病から回復した後も、こころやからだの調子が悪くなることがあるかもしれません。そのようなときは、迷わず医師を頼ってください。どんなことでも早期の対応が大切です。(うつ病治療中の過ごしかた

  • 野村総一郎 監修:入門 うつ病のことがよくわかる本, 講談社, 東京, 2018
  • 尾崎紀夫 監修:よくわかるうつ病 診断と治療、周囲の接し方・支え方, NHK出版, 東京, 2014
  • 五十嵐良雄 監修:うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本, 講談社, 東京, 2014

うつ病治療中の過ごしかた

うつ病の治療中、生活面で変化が出てくるの?

まず、うつ病の治療経過の全体像を確認してみましょう(図)。

図:うつ病の治療経過

図:うつ病の治療経過

うつ病の治療の期間は、「急性期」、「回復(継続治療)期」、「再発予防(維持治療)期」と大きく3つの期間に分けられ、各期間の長さは大まかに「急性期」が6~12週間、「回復期」が4~9ヵ月、「再発予防期」が1年以上とされています(図)1、2)
これらの期間で、ずっと同じような生活を送るわけではありません。各期で、生活は変わってきます。

急性期の過ごしかたは?

急性期は、うつ病の症状が強く出ていて何をするにも大変な時期です。この時期は、「休むこと」が何より重要です。お薬を飲んで休むことに専念しましょう3)
「休む=何もしない」です4)。無理せずに、のんびり過ごしましょう。眠ければ、寝てしまいましょう。気持ちが急いて何かしようとしても、上手くいかないことが多い時期でもあります4)

回復期の過ごしかたは?5)

回復期は、症状が良くなったり悪くなったりと波はありますが、お薬の効果があらわれ、ほぼ症状が出ない「寛解」が得られる時期です。休み続ける生活に物足りなさを感じ、たとえば、読書などへの集中力や意欲を感じてきた、人に会いたくなってきたら回復期のサインです。
この時期は、まず規則正しい生活、健康的なライフスタイルを心がけましょう。就寝・起床時間を一定にして、朝に日光を浴びると生活リズムが整いやすくなります。また、バランスの取れた食事を心がけたり、無理がない程度の運動をしたりすることで、生活リズムが整います。
注意が必要なのは、調子が良いからといって治療を自己判断で止めないことです。お薬の中には徐々に減らしたほうが良いものもあります。加えて、うつ病のお薬を飲んでいる時は、アルコールを避けたほうが良いでしょう。

再発予防期の過ごしかたは?6)

うつ病から回復して、治療の必要もなくなる場合がある時期です。仕事・家事・学業に復帰することも現実味を帯びてきます(仕事のこと 参照)。
再発予防の基本対策は、回復期と同様、やはり規則正しい生活です。

  • 睡眠:寝る時間を決めて、6~7時間を確保しましょう。
  • 食事:栄養バランスのよい食事を、朝・昼・晩の3食とりましょう。
  • 運動&活動:平日・休日にかかわらず、日中は起きて活動するようにしましょう。運動は、散歩でも構いません。
  • 長続きする趣味など:お金をかけなくても、ストレスなく、気分転換になることをやってみるのも、再発予防につながります。

【出典】

  • 1)厚生労働省ホームページ「こころの耳 ご存知ですか?うつ病 1 うつ病とは」
    http://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001
  • 2)Kupfer DJ:J Clin Psychiatry, 52 Suppl:28-34, 1991
  • 3)山本晴義 監修:図解やさしくわかる うつ病からの職場復帰, ナツメ社, 東京, 2015
  • 4)野村総一郎 監修:健康ライブラリー 名医が答える!うつ病 治療大全. 講談社, 東京, 2022
  • 5)樋口輝彦 編:医師と患者・家族をつなぐ うつ病のABC~早期発見・早期治療のために~. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2018
  • 6)神庭重信 監修:こころのお医者さんに聞いてみよう 「うつ病」の再発を防ぐ本 家族と本人が知っておくべき予防法. 大和出版, 東京, 2023

はたらくあなたのうつに関する誤解

うつ病に関してどのような印象や認識をもっていますか?ここでは仕事や家事、学業とうつ病に関する誤解を紹介します。

“自分はストレス耐性が
強いから大丈夫„

自分はストレス耐性が強いから大丈夫

“自分はストレス耐性
が強いから大丈夫„

うつ病の発症要因はストレスだけではありません(うつ病の原因)。
そのため、誰にでも発症のリスクがあります。また、結婚や昇進など、ポジティブな出来事にもストレスは生じるため、自分が感じている以上に、受けているストレスが大きい場合があります7)

“診断は受けたが、うつ病ではなく
睡眠不足と疲労が原因なだけだ„

診断は受けたが、うつ病ではなく睡眠不足と疲労が原因なだけだ

“睡眠不足と疲労が
原因なだけだ„

うつ病を受け入れず、治療せずにいると症状が悪化するおそれがあります。
うつ病と診断された場合、患者さんによっては、自分がうつ病であることを納得できない、または「自分はそんなに弱くない」、「自分はうつ病でも元気」などと病気を軽視したり、否定的にとらえることがあるかもしれません。
しかし、治療が遅れると症状が悪化する可能性があります。診断後は、まず真摯に治療と向き合うことから始めましょう7)

“うつ病は挫折、人生の終わり„

うつ病は挫折、人生の終わり

“うつ病は挫折、
人生の終わり„

悲観的な感情は、うつ病の症状の1つでもあります。
うつ病と診断され、「うつ病は挫折、人生の終わり」などと思う患者さんは、そもそも頑張りすぎていたのかもしれません。
自分に対して悲観的になっている時期に、無理して明るくふるまう必要はありません。悲観的な感情も、うつ病の症状であると理解して、治療を続けることが大切です。治療によって症状を改善することは、悲観的な思考から抜け出す方法の1つです7)

“休んで迷惑をかけたぶんを取り戻さ
なきゃ„“休んだので自分だけ遅れて
いる、早く追いつかなきゃ„

休んで迷惑をかけたぶんを取り戻さ休んだので自分だけ遅れている、早く追いつかなきゃ

“休んで迷惑かけたぶ
んを取り戻さなきゃ„

あせらず自分のペースで、できることから始めることが復帰を成功させるための第一歩です7)
休養したことに対するあせりや、負い目を感じることもあるでしょう。しかし、症状が十分に回復しないまま復帰したり、復帰後に頑張りすぎると、復帰後の負担に耐え切れない可能性があり、再発につながるおそれがあります。再発した場合は、再び休職が必要になるため、自分のペースを大切にしましょう。

“早くうつ病を発症する前と
同じ自分・生活を取り戻したい„

早くうつ病を発症する前と同じ自分・生活を取り戻したい

“早く前の自分・生活
を取り戻したい„

うつ病を発症する前までに、自分が無理をしていたことや、生活や仕事に無理があったことがうつ病を発症した原因の1つである可能性があります。
復職支援プログラム精神療法を受けるうちに、そのことに気づくことができるかもしれません。また、回復後に目指すのは、新しい自分と新しい生活です。過去と現在の自分を認め、ありのままの自分になることが、気持ちを一新することにつながります7)

“復職への準備は万端だ、
穏やかに復職できるはず„

穏やかに復職できるはず

“復職への準備は万端
だ、できるはず„

多くの患者さんが、不安や緊張の中で復職します。
復職支援プログラムなどを受け、復職への準備を整えた患者さんであっても、復職当初は緊張します。復職当初に穏やかな気持ちを保てないことは、復職する患者さんの多くが経験することです。緊張することは、復職への準備が不足していることや、うつ病の症状が回復していないことが原因ではありません。
復職するときに大事なことは、無理をしないことです。つらいときはまわりにサポートを求めるなど、頑張りすぎないようにしましょう7)

“治療が終わったので、もう二度と
うつ病になることはないだろう„

治療が終わったので、もう二度とうつ病になることはないだろう

“もう二度となること
はないだろう„

治療で自分が本来もっているもろさ(うつ病になりやすい特徴:完璧主義、悩みを抱え込むなど)を変えることは難しく、仕事や家事などで無理をすれば、うつ病を再発してしまう可能性があります。
うつ病の原因は1つではなく、遺伝的要因や身体疾患やこれまでの経験、性格、自分を取り巻く環境、そしてストレスが考えられます8)うつ病の原因)。それらを把握・理解することで、対策を立てることはできます。もろさを変えることは難しいですが、復職支援プログラム精神療法などでは、そのもろさも含め、自分が本来もっている気質と一緒に生きていけるような対策を身につけていきます7)

“不幸なのは自分のせい„

不幸なのは自分のせい

“不幸なのは
自分のせい„

不幸だと思い、自分を責めてしまうのは、うつ病の症状でもあります。
不幸だと思うのは、憂うつや悲しみなどの「抑うつ症状」と呼ばれる症状であり、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(うつ病の症状)。
治療を受けてうつ病の症状が回復へ向かうことで、そういった考えは薄れていくでしょう。また、精神療法復職支援プログラムなどで考え方を学ぶことで、「不幸なのは自分のせい」と思うことはうつ病の症状であることを理解でき、気持ちが楽になるかもしれません7)

“仕事や勉強ができないのは
自分のせい„

仕事や勉強ができないのは自分のせい

“できないのは
自分のせい„

仕事や勉強ができないのは、うつ病の症状の1つかもしれません。うつ病では、判断力や集中力、記憶力の低下があらわれることがあります8、9)。また、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(こころの症状)。これらの症状により、仕事や家事、学業に支障が生じることがあるため、治療を受けにいきましょう8、9)診療科・相談方法)。

“家事は自分がやらなければ„

家事は自分がやらなければ

“家事は自分が
やらなければ„

医師から休養が必要と判断された場合は、何もしないように心がけ、十分に休養をとってください。
家庭内での家事などを任されている場合は、休養中でも気が休まらないことがあるかもしれません。その場合は、休養が優先すべきことだと考え、周囲にサポートを求めましょう。しかし、自宅での休養が難しい場合は、入院してじっくり休むという選択肢もあります。家庭内での状況を医師に相談してみましょう10)

【出典】

  • 1)厚生労働省ホームページ「こころの耳 ご存知ですか?うつ病 1 うつ病とは」
    http://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
  • 2)Kupfer DJ:J Clin Psychiatry, 52 Suppl:28-34, 1991
  • 3)山本晴義 監修:図解やさしくわかる うつ病からの職場復帰, ナツメ社, 東京, 2015
  • 4)野村総一郎 監修:健康ライブラリー 名医が答える!うつ病 治療大全. 講談社, 東京, 2022
  • 5)樋口輝彦 編:医師と患者・家族をつなぐ うつ病のABC~早期発見・早期治療のために~. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2018
  • 6)神庭重信 監修:こころのお医者さんに聞いてみよう 「うつ病」の再発を防ぐ本 家族と本人が知っておくべき予防法. 大和出版, 東京, 2023
  • 7)五十嵐良雄 監修:うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本, 講談社, 東京, 2014
  • 8)高橋三郎ほか 監訳:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル, 医学書院, 東京. 2014
  • 9)有馬秀晃 監修:うつ病の人に言っていいこと・いけないこと, 講談社, 東京, 2014
  • 10)野村総一郎 監修:図解やさしくわかる うつ病の症状と治療, ナツメ社, 2014

うつ病と生活

うつ病と診断され、うつ病と共に生きていく中で
生活面や人間関係、仕事で大切にした方がよいことをご紹介します。

治療について

うつ病の治療にはどのようなものがあるのでしょうか?
治療中の経過や治療後に残ることのある症状(残遺症状)も含めて、解説いたします。

サポート

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