うつ病との生活には、仕事や経済面のこと、人間関係など、心配もあると思います。
疑問に感じることの多い点についてまとめました。
うつ病と上手に向き合うために生活の中で実践していただきたいことを紹介します。
自分のペースで受け止める
自分のペースで
受け止める
うつ病を受け止め、理解することが回復への第一歩です。うつ病の受け止め方は人それぞれであるため、ゆっくりでもよいので、自分のペースでうつ病を受け止めましょう。
あきらめることを覚える
あきらめることを
覚える
あきらめは絶望ではなくリセットです。これまでの自分を見つめなおし、負担になっている目標や目的をあきらめることも考えてみましょう。
自分を責めない
自分を責めない
自分を責めることは、うつ病の症状の1つでもあります。(こころの症状)また、うつ病は、自分自身で発症を防ぐことが難しい病気です。「自分が悪かった」と思いつめないようにしましょう。
休養に専念する
休養に専念する
医師から休養が必要と判断された場合、休養に専念することが、回復に向かうために重要です。何もせず、こころとからだを休ませましょう。(うつ病治療中の過ごしかた)(治療のこと)
お薬を勝手に中止しない
お薬を勝手に
中止しない
自分の判断でお薬の服用を中止したり減量することは、症状の悪化や再発を引き起こすことがあります。お薬に関することは自分で判断せずに、医師や薬剤師に相談しましょう。(治療のこと)
自分なりの意義を持つ
自分なりの
意義を持つ
物事のとらえ方によって、ストレスの感じ方は変わります。
たとえ無意味に思えるようなことであっても、自分なりの意義を持つことで、ストレスを減らすことができます。
エネルギーを意識して過ごす
エネルギーを
意識して過ごす
エネルギー(体力や気力)には限界があります。
復帰した後は、自分のエネルギー量を意識して、無理しないようにしましょう。
迷わず医師を頼る
迷わず医師を頼る
うつ病から回復した後も、こころやからだの調子が悪くなることがあるかもしれません。そのようなときは、迷わず医師を頼ってください。どんなことでも早期の対応が大切です。(うつ病治療中の過ごしかた)
まず、うつ病の治療経過の全体像を確認してみましょう(図)。
図:うつ病の治療経過
うつ病の治療の期間は、「急性期」、「回復(継続治療)期」、「再発予防(維持治療)期」と大きく3つの期間に分けられ、各期間の長さは大まかに「急性期」が6~12週間、「回復期」が4~9ヵ月、「再発予防期」が1年以上とされています(図)1、2)。
これらの期間で、ずっと同じような生活を送るわけではありません。各期で、生活は変わってきます。
急性期は、うつ病の症状が強く出ていて何をするにも大変な時期です。この時期は、「休むこと」が何より重要です。お薬を飲んで休むことに専念しましょう3)。
「休む=何もしない」です4)。無理せずに、のんびり過ごしましょう。眠ければ、寝てしまいましょう。気持ちが急いて何かしようとしても、上手くいかないことが多い時期でもあります4)。
回復期は、症状が良くなったり悪くなったりと波はありますが、お薬の効果があらわれ、ほぼ症状が出ない「寛解」が得られる時期です。休み続ける生活に物足りなさを感じ、たとえば、読書などへの集中力や意欲を感じてきた、人に会いたくなってきたら回復期のサインです。
この時期は、まず規則正しい生活、健康的なライフスタイルを心がけましょう。就寝・起床時間を一定にして、朝に日光を浴びると生活リズムが整いやすくなります。また、バランスの取れた食事を心がけたり、無理がない程度の運動をしたりすることで、生活リズムが整います。
注意が必要なのは、調子が良いからといって治療を自己判断で止めないことです。お薬の中には徐々に減らしたほうが良いものもあります。加えて、うつ病のお薬を飲んでいる時は、アルコールを避けたほうが良いでしょう。
うつ病から回復して、治療の必要もなくなる場合がある時期です。仕事・家事・学業に復帰することも現実味を帯びてきます(仕事のこと 参照)。
再発予防の基本対策は、回復期と同様、やはり規則正しい生活です。
【出典】
うつ病に関してどのような印象や認識をもっていますか?ここでは仕事や家事、学業とうつ病に関する誤解を紹介します。
“自分はストレス耐性が
強いから大丈夫„
“自分はストレス耐性
が強いから大丈夫„
うつ病の発症要因はストレスだけではありません(うつ病の原因)。
そのため、誰にでも発症のリスクがあります。また、結婚や昇進など、ポジティブな出来事にもストレスは生じるため、自分が感じている以上に、受けているストレスが大きい場合があります7)。
“診断は受けたが、うつ病ではなく
睡眠不足と疲労が原因なだけだ„
“睡眠不足と疲労が
原因なだけだ„
うつ病を受け入れず、治療せずにいると症状が悪化するおそれがあります。
うつ病と診断された場合、患者さんによっては、自分がうつ病であることを納得できない、または「自分はそんなに弱くない」、「自分はうつ病でも元気」などと病気を軽視したり、否定的にとらえることがあるかもしれません。
しかし、治療が遅れると症状が悪化する可能性があります。診断後は、まず真摯に治療と向き合うことから始めましょう7)。
“うつ病は挫折、人生の終わり„
“うつ病は挫折、
人生の終わり„
悲観的な感情は、うつ病の症状の1つでもあります。
うつ病と診断され、「うつ病は挫折、人生の終わり」などと思う患者さんは、そもそも頑張りすぎていたのかもしれません。
自分に対して悲観的になっている時期に、無理して明るくふるまう必要はありません。悲観的な感情も、うつ病の症状であると理解して、治療を続けることが大切です。治療によって症状を改善することは、悲観的な思考から抜け出す方法の1つです7)。
“休んで迷惑をかけたぶんを取り戻さ
なきゃ„“休んだので自分だけ遅れて
いる、早く追いつかなきゃ„
“休んで迷惑かけたぶ
んを取り戻さなきゃ„
あせらず自分のペースで、できることから始めることが復帰を成功させるための第一歩です7)。
休養したことに対するあせりや、負い目を感じることもあるでしょう。しかし、症状が十分に回復しないまま復帰したり、復帰後に頑張りすぎると、復帰後の負担に耐え切れない可能性があり、再発につながるおそれがあります。再発した場合は、再び休職が必要になるため、自分のペースを大切にしましょう。
“早くうつ病を発症する前と
同じ自分・生活を取り戻したい„
“早く前の自分・生活
を取り戻したい„
うつ病を発症する前までに、自分が無理をしていたことや、生活や仕事に無理があったことがうつ病を発症した原因の1つである可能性があります。
復職支援プログラムや精神療法を受けるうちに、そのことに気づくことができるかもしれません。また、回復後に目指すのは、新しい自分と新しい生活です。過去と現在の自分を認め、ありのままの自分になることが、気持ちを一新することにつながります7)。
“復職への準備は万端だ、
穏やかに復職できるはず„
“復職への準備は万端
だ、できるはず„
多くの患者さんが、不安や緊張の中で復職します。
復職支援プログラムなどを受け、復職への準備を整えた患者さんであっても、復職当初は緊張します。復職当初に穏やかな気持ちを保てないことは、復職する患者さんの多くが経験することです。緊張することは、復職への準備が不足していることや、うつ病の症状が回復していないことが原因ではありません。
復職するときに大事なことは、無理をしないことです。つらいときはまわりにサポートを求めるなど、頑張りすぎないようにしましょう7)。
“治療が終わったので、もう二度と
うつ病になることはないだろう„
“もう二度となること
はないだろう„
治療で自分が本来もっているもろさ(うつ病になりやすい特徴:完璧主義、悩みを抱え込むなど)を変えることは難しく、仕事や家事などで無理をすれば、うつ病を再発してしまう可能性があります。
うつ病の原因は1つではなく、遺伝的要因や身体疾患やこれまでの経験、性格、自分を取り巻く環境、そしてストレスが考えられます8)(うつ病の原因)。それらを把握・理解することで、対策を立てることはできます。もろさを変えることは難しいですが、復職支援プログラムや精神療法などでは、そのもろさも含め、自分が本来もっている気質と一緒に生きていけるような対策を身につけていきます7)。
“不幸なのは自分のせい„
“不幸なのは
自分のせい„
不幸だと思い、自分を責めてしまうのは、うつ病の症状でもあります。
不幸だと思うのは、憂うつや悲しみなどの「抑うつ症状」と呼ばれる症状であり、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(うつ病の症状)。
治療を受けてうつ病の症状が回復へ向かうことで、そういった考えは薄れていくでしょう。また、精神療法や復職支援プログラムなどで考え方を学ぶことで、「不幸なのは自分のせい」と思うことはうつ病の症状であることを理解でき、気持ちが楽になるかもしれません7)。
“仕事や勉強ができないのは
自分のせい„
“できないのは
自分のせい„
仕事や勉強ができないのは、うつ病の症状の1つかもしれません。うつ病では、判断力や集中力、記憶力の低下があらわれることがあります8、9)。また、自分のせいと自分を責めてしまうのは、「無価値観・罪業感」と呼ばれる症状です(こころの症状)。これらの症状により、仕事や家事、学業に支障が生じることがあるため、治療を受けにいきましょう8、9)(診療科・相談方法)。
“家事は自分がやらなければ„
“家事は自分が
やらなければ„
医師から休養が必要と判断された場合は、何もしないように心がけ、十分に休養をとってください。
家庭内での家事などを任されている場合は、休養中でも気が休まらないことがあるかもしれません。その場合は、休養が優先すべきことだと考え、周囲にサポートを求めましょう。しかし、自宅での休養が難しい場合は、入院してじっくり休むという選択肢もあります。家庭内での状況を医師に相談してみましょう10)。
【出典】
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