うつ病の残遺症状

うつ病が寛解しても、一部の症状が残ってしまう

うつ病の残遺症状とは?
うつ病は、治療することで改善が見込める病気です。社会復帰を果たしているうつ病患者さんもたくさんいます。
しかし、「うつ病ではない」と判定されるレベル(寛解のレベル)まで症状が改善しても、全ての症状が完全に消えないことがあります。この、なかなか良くならない症状は「残遺症状」と呼ばれます1-3)
どのような残遺症状が出てきて、何に困るの?
うつ病の残遺症状は個々の患者さんによって異なり、残遺症状に伴う生活・仕事などでの困りごとも異なります。残遺症状の影響で社会機能注1)が落ちることもあり2)、生活の質(QOL)が下がることも報告されています4)

よくみられる残遺症状を以下に示します1-5)

  • 不眠(不眠に伴う認知機能の低下)
  • 認知機能障害
  • 抑うつ気分(悲しい気持ち)
  • 集中力/決断力の低下
  • 不安

うつ病の残遺症状の中でも、認知機能の低下は重要です。主観的な認知機能障害が、抑うつ気分と同様に労働生産性の低下、すなわちプレゼンティーイズム(presenteeism)注2)を引き起こしかねないことが示唆されています6)。つまり、残遺症状は仕事などをするうえでも大きな問題になります。

下の動画もご参照ください。

注1)社会機能:個人と環境の相互関係(例:仕事、社会活動、パートナーや家族とのかかわり)の中で、個人が役割を果たす能力とされています7,8)

注2)プレゼンティーイズム:「健康に問題を抱えながら出勤(仕事)をしている状態」で、「仕事のパフォーマンスが下がる状態(労働生産性の低下)」を含めることもあります9)

残遺症状があるときは、どうすればいいの?
残遺症状の原因は症状と同様、患者さんそれぞれで異なります。残遺症状を改善し、社会機能を回復させる糸口をつかむためにも、主治医につらい症状や生活の支障を相談してみましょう。
うつ病の症状について、もっと知りたい方はこちら

【出典】

  • 1)渡邊衡一郎:臨床精神薬理, 20(3):239-247, 2017
  • 2)石井美穂ほか:臨床精神薬理, 22(1):69-74, 2019
  • 3)田代哲男:精神科治療学, 30(6):739-745, 2015
  • 4)Shimizu Y, et al.:Psychiatry Res, 210(3):913-918, 2013
  • 5)日本うつ病学会 気分障害の治療ガイドライン作成委員会:日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ. うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016, 第2回改訂, p.26, 2016
  • 6)Toyoshima K, et al.:Biopsychosoc Med, 14:10, 2020
  • 7)田上明日香ほか:行動療法研究, 38(1):11-22, 2012
  • 8)Bosc M.:Compr Psychiatry. 41(1):63-69, 2000
  • 9)武藤孝司:産業医学レビュー. 33(1):25-57, 2020